夜寝られない ~不眠症~
最近ぐっすりと寝られているでしょうか。
夜の睡眠が十分とれているのか。質問されたときに「はい」と答えられる人は意外と少ないと思います
コロナ時代となり、ストレスが増えたようにも感じます。生活の環境の変化や心配事が増えるだけでも、不眠に陥ることは多く、知り合いの心療内科へ受診する方が増えているということです。日本人を対象にした調査によれば、5人に1人が「睡眠で休養が取れていない」、「何らかの不眠がある」と回答していました。そして、加齢とともに不眠は増加していきます。
『不眠』
経験のある方が多いと思いますが、遠足が近づいてきて寝られない。試験や大きな仕事で緊張して寝付けない。一時的な緊張や時差のずれなどで生じる「一過性不眠」は数日程度で自然に改善します。続いて、慢性的に生活のストレスなどが原因で眠れない日が週単位で続き時は「短期不眠」と呼ばれます。
今回の不眠症はそれよりも長期的に1か月以上眠れない日が続くときのことを表します。
■不眠症は大きく分けて4タイプへ分類されます。
入眠障害
布団に入ってもなかなか寝つけません。これは精神的な不安が強い時に起こりやすい症状です。
中途覚醒
夜中に目が覚めてしまいます。不眠のなかで最も多い症状です。
高齢になることで眠りが浅くなったり、夜にトイレが近くなるなどによることも多いです。過活動性膀胱といった膀胱が原因の頻尿の中でも、自律神経障害が引き起こしたり、高齢に伴って夜間だけ尿量が増えてしまう夜間多尿といった病態によって起こることもあります。ただ、目が覚めてしまった後にすぐに眠れて熟睡感を得られているようならとくに問題はありません。
早朝覚醒
予定よりも2時間以上も朝早く目が覚めてしまいます。高齢の方は必要な睡眠時間が短くなるのでよく見られます。そして、うつ病などの患者さんにもよくみられる症状です。
熟眠障害
目覚めたとき、睡眠時間はある程度確保しているのにぐっすり眠った感覚がありません。これは精神的な原因によることもありますが、睡眠時無呼吸症候群などの可能性もあります。
不眠症の原因は大きく3つに分けることができると言われています。
1つ目は、その人の要素です。
その人の元の性格やストレスの対処能力などによって、どれほどストレスを感じやすいかが影響します。また、加齢や性別も素因の1つとされていて不眠に影響してきます。
2つ目は、不眠を悪化させる要因です。
これが世間的に「ストレスによって眠れなくなる」原因と指摘されるものです。たとえば慢性的なストレスのある人間関係、お酒の飲み過ぎ、痛みや痒みや頻尿といった別の疾患による身体的な症状などです。特に、最近は新型コロナの流行によって色々な不安を抱えてしまい、眠れなくなった人もいます。
これはある意味ごくごく一般的なことなのです。
3つ目は、不眠を長引かせる要因です。
まずは生活習慣です。たとえば長時間の昼寝や、就寝時間に忠実すぎるために眠気もないのに布団に入って眠れない不安をずっと抱えている方がいらっしゃいます。そのスタイルでは不安を助長している可能性があります。
生活習慣が夜型になっていくと、徐々に体内時計とのズレてしまい、時差ボケのような状態へ陥ります。すると、就寝時間になっても自然な眠気が訪れず、不眠が続いてしまうことがあります。不眠が続くことで交感神経と副交感神経の切り替えのバランスが悪くなり、夜になっても交感神経が働き続けて、体の緊張状態が続いてしまって眠れなくなってしまうのです。ここでもリラックス方法が重要となります。
不眠のタイプや原因を知ることがまずは大切な一歩となります。まずは、不眠症の中に隠れた疾患がないかを問診を詳しく行うことによって把握する事が大切です。そして、不眠症を患うと不眠症状に伴って日中の機能障害として生活に影響を及ぼすことが特徴です。具体的には学校や仕事でのパフォーマンスの低下、記憶力集中力の欠落、倦怠感、やる気が出ない、情緒が不安定になってしまうなどの症状が出現してきます。
不眠症によって日中の生活に負の影響が出てしまっている方は、ぜひ医療機関への相談をされることをお勧めします。