尿道カテーテル
訪問診療の現場でもよく使用することのある「尿道カテーテル」。
膀胱内にカテーテルを留置することで持続的に尿を排出することを目的とします。急性期の病院からの退院患者さんのうち、14%の方が尿道カテーテルを留置状態のまま退院されているようです。
泌尿器科の臨床試験においては、尿道カテーテルを留置されている患者さんの約3割の方は排尿訓練により自己排尿が可能となるという研究報告がありました。
カテーテルを留置していることで、本人をトイレへ誘導したり、転倒のリスクが減るという介護力がかからなくなるという介護者側の負担減はあるかもしれません。しかし、患者さん本人の生活の質を考えるとどうでしょうか。
患者さんご本人がカテーテルを無しにすることを望まれているのであれば、ぜひ一度カテーテル抜去を試みてみませんか。
確かに自立するまでは定期的な時間を決めた導尿を継続することと、内服薬で膀胱機能を改善させるため、患者さんや家族の方の協力をお願いすることとなります。ただ、尿道カテーテルは継続留置で感染のリスクが上がってしまうという点と、交換のたびに尿道損傷の可能性を踏まえるため、カテーテルがなくなることは生活の質以外のメリットも大きいかと思います。
尿道カテーテルを継続して使用されている場合には、膀胱の伸び縮みの生理的運動をしないため、膀胱機能は低下してしまいます。そのため、膀胱機能の回復を期待できる時期にはある程度限りがございます。
排尿機能についてのご相談は、できましたら早めにしていきましょう。