在宅腹膜透析
透析治療には血液透析と腹膜透析との2種類あることをご存じでしょうか。
腹膜透析は自宅で透析の医療行為を行うことができて、日常生活や体への支障が少ないとされる透析治療です。
腹膜透析は、「腹膜」を利用して体内の余分な水分や老廃物を排出し、血液透析と同様に血液を浄化する治療法です。自宅で行うことができるため、通院は月に1〜2回程度とすることができます。
まず、「腹膜」とは私たちの体内の胃や小腸などの腹腔内の臓器を覆っている膜で、たくさんの毛細血管が存在します。その毛細血管を用いて透析を行うことができるのです。透析液を腹腔内へ入れると、体内の老廃物や水分が毛細血管から透析液へ移動します。そして、時間をおいて老廃物が移動した透析液を身体の外に取り出すことで、血液をきれいにすることができる。という原理です。
腹膜透析の方法として、ご自分で1日に1-4回ほど透析液交換をするCAPDと、夜間に機械を用いて透析液交換をするAPDという方法があり、患者さんの生活様式をもとにどちらを使用するかを決定していきます。
透析液の注液と排液は、病院での入院中にしっかりと指導をしてもらい慣れていただいてから、自宅へ退院することとなりますが、おおよそ古い液の排液には15分ほど、再度新規の透析液を注入することにかかる時間は10分ほどで完了できます。清潔操作には十分注意いただく必要があります。
特定疾病療養費の対象となっておりますので、コーディネーターさんなどに医療費助成について相談可能です。なお、災害時にも透析液や機械会社からのフォローが入りますので、自宅の器材・薬剤を用いた治療継続が可能です。
なかなか在宅腹膜透析に出会う機会は少ないですが、私は泌尿器科医としてカテーテルアクセスの作成に携わらせていただいていた事もあり、そのような患者さんの受け皿となれるとよいです。